ちょっとお前の顔を見たいって思ったなんて、言わない。
+ 「不恋雨_フレサメ」
雨が降るなって、思った時は、何となく煙草を吸うのをやめる。
でも、なんとなく今日は来るなって思うから、起きて前髪を整える。
インターホンが鳴った。
鍵を開ける私。ドアの前で、ずぶ濡れになってるあいつ。
雨が降ってる間くらい、あがっていきなよ ―なんて言わない。
本当はそうして欲しいのか、どうでもいいのか、あんまり考えない。
傘、また晴れたら持って来るんでしょう?
たったそれだけの会話。努めて、目線も合わせない。
雨宿りしていく? ―なんて訊かない。
それじゃ、とあいつが踵を返す。
私も、部屋に戻る。
次の雨がいつか、天気予報なんて確認しない。