見出し 現在地→ 参集殿  作:琳火

 

+ 「そらのかなたに」

 

秋葉散る季節 風に包まれて 空を見上げてみる
 
そんなにうまくいかないねと つぶやいて それでもそれなりに進めてるつもりで
行く宛なんか見つからないのに ずっと 歩くことだけはやめなかった
 
見上げたら 遠い空が 降ってきた
飛びたくて 風に尋ねたら 夢を貰った
 
焼け付き 澄みゆくその紅い紅い蒼は 小さな小さな私をざわつかせる
 
見えるだけ見たいと想って 遠くを知ってるフリをしたくて
何度も背伸びをした
そのたびに 足元がふらつくことに気づかなかった
 
いつか 私は想いの場所へゆけるだろうか
いつか この手は届くだろうか
ここから私は どこまで追いかけてゆけるだろう
 
掲げたてのひら やさしくて 涙色の痛み
 
私が掴んだのは 脆くはかないひとかけら
私が掴めたのは 淡くかがやくひとひら
 
私が夢見たのは 陽だまりの中の小さな幸せ
 
いつか必ず 高く遠い終着へ そらのかなたへ 

 

 

 

 

 

 

「そらのかなたに」 ―完―

 

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