昏い空の見える丘に、私はまたやってきた。
+ 「価値の選択」
少し強い風が吹いた。その腕に心を委ねる。
空と私の境界はどこだろう。―多分、見つからない。
空を遠くするのは、私のエゴで、
私の始まりと 私の終わり
何時でも終わらせることができるから、こんなにも自由で、こんなにも味気ない。
ここにいるってさ、気付いて欲しいから。
世界は雄大だから、何の打算も無く、そこにあるから。 悔しいくらい、綺麗だから、
いつだって、
等価値な生と死を秤にかけて、その差を必死に比べたりしてさ、
そんなことくらい、
いつだって揺らがないように、大切だと想うほうに、
いや、
そうできたら、そう簡単にできたら、
怖いから、かな
遠い空…
その向こうは、見えない。
暗闇の向こう側から、こっちを見たら、どんな風に見えるのかな。
足は、地面を感じているはずなのに、遠い。
その空の向こうに、落ちていきそうになる。
怖い。
だから…
私が私であるために…
ここにいていいって、信じるために。
だから…
今ぐらいは、涙が止まらなくても、
"私は ここ にいる"
誰に認められなくとも、世界に優しくして貰えなくとも、
零れた私の涙を 風が拾った