見出し 現在地→ 参集殿  作:御日部 兎雪

 

良縁もあれば、奇縁もあるもの。
あなたへの想いの機縁を、あなたはきっと想い出す事はないでしょう。
ただ、私にとっては、あなたのその言葉が、何よりも救いだったんです。

 

+ 「宙_そら」

 

私たちの集うこの場所は、太陽でした。
残った私たちは惑星や彗星でした。
ばらばらの軌道で太陽の周りを廻っています。
時には遠くにあり、時には、互いにぶつかりそうになりながら、
みんな、この場所の周りを廻っています。

 

どんなに離れても、どんなに戻ってくるのが遅くとも、
私たちはみんな、この場所を核とし廻っていて、それは変わることのない縁となりました。

 

その縁が繋がっているのなら、軌道が多少変わっても、何十年に一度しか戻ってこなくなったとしても、
私はあなたを忘れる事はないでしょう。

 

あなたが、私を、付加のない私として接して下さったから。

 

これから、私の前からあなたがいなくなったとしても、
私の中には、いつもと変わらずあなたが存在していて、
それはもう私の一部ですから、あなたを忘れる事はありません。

 

私は、これからも、あなたと共に生きてまいります。

 

 

あなたが、あなたを抱きしめてくれる誰かと生きて、
いつか心から、あなたといて良かったと言ってもらえたのなら、また、戻ってきて下さい。
私からの約束です。

 

あなたが、いつか私に逢いに来て下さった時までに、私は家庭を持つでしょう。
その先、あなたと歩んだかもしれない未来より、私は幸せに生きてみせます。
あなたからの約束です。

 

あなたが、私でない誰かと生きて、
私が、あなたでない誰かと生きたとしても、ただ、憶えていて下さい。

 

私がいつか霞んだとしても、私との約束をただ、憶えていて下さい。

 

 

 

 

 

 

「宙_そら」 ―完―

 

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